「先月の失注、どれくらいありましたか?」と営業マネージャーに聞くと、多くの方が個別案件の話を始めます。「A社は予算が合わなくて」「B社は競合に取られて」と。現場あるあるですが、失注は1件ずつの"事故"として語られがちです。
ただ、経営の視点から見ると、その語り方ではもったいない。失注は1件1件の出来事ではなく、受注率という塊で捉えた瞬間に、「取り戻せる売上」という別の顔を見せてきます。正直に言うと、私たちが営業改革の相談を受けたとき、最初にお見せするのもこの数字です。今日はその考え方を整理してみます。
視点のフレーム:失注を「率」で見る
売上の構造をシンプルに分解すると、こうなります。
売上 = 商談数 × 受注率 × 単価
このうち、商談数を増やすには新規リード獲得が必要で、時間もコストもかかります。単価を上げるには商品設計や提案内容の見直しが要ります。一方で受注率は、今ある商談の中で改善余地を探せる変数です。
ここで重要なのが「業界平均との比較」という補助線です。自社の受注率が20%だとして、それを「うちはこんなものだ」と受け止めるか、「業界平均28%との差8ポイントは何だ?」と問い直すか。この問いの立て方ひとつで、見える景色が変わります。失注は損失ではなく、業界平均まで届いていないギャップだと捉え直すわけです。
数字で見ると:年間4,608万円のギャップ
具体的な数字で見てみます。商談60件/月・単価80万円・現状受注率20%という、ごく一般的なB2Bセールスのモデルで試算してみましょう。
項目 | 現状 | 業界平均ベース |
|---|---|---|
月次商談数 | 60件 | 60件 |
単価 | 80万円 | 80万円 |
受注率 | 20% | 28% |
年間売上 | 約1.15億円 | 約1.61億円 |
差し引きの年間ギャップは、約4,608万円。これが「業界平均まで改善した場合との差」として浮かび上がる金額です。
もちろん、すべてを取り戻せるわけではありません。受注率を一気に業界平均まで引き上げるのは現実的ではないので、保守的に半分の50%だけ回収できたとして計算してみます。それでも約2,304万円。営業1人分の年間粗利を超える規模が、今ある商談の中に眠っている計算になります。
ここで強調したいのは、これは新規リードを増やす話ではないということです。今、目の前を流れている商談の取りこぼし方を変えるだけで、この金額が動きます。
では何をするか:受注率を上げる近道
受注率を上げる、と聞くと「営業スキルを磨く」「クロージングを強化する」といった話に流れがちです。ただ、私たちの経験では、もっと近道があります。
それは、受注しやすい商談を増やすことです。
受注率20%の組織を分解すると、たいてい「ほぼ受注する商談」と「ほぼ失注する商談」が混在しています。後者にどれだけ時間を割いても、受注率は上がりません。むしろ、リードソースごと・業界ごと・案件規模ごとに受注率を分解して、「勝ち筋の商談」がどこから来ているかを特定する方が早い。
そのうえで、勝ち筋に近いリード獲得経路を太くする。逆に、受注率が極端に低い経路は思い切って絞る。この見直しだけで、組織全体の受注率は数ポイント動きます。
だからこそ、まずは自社の数字で試算してみることをお勧めします。商談数・単価・受注率を入れるだけで、業界平均との差がいくらの機会損失になっているかが見えてきます。
まずは自社の数字で確かめてみる
失注の機会損失シミュレーターでは、自社の商談数・単価・受注率を入れるだけで、業界平均との差額を年間金額で確認できます。試算結果を見て「思ったより大きい」と感じたら、次は受注率を分解する打ち手のフェーズです。
私たちはSalesLinkというサービスで、受注率の分解と勝ち筋商談の見極めを支援しています。シミュレーターで出た金額が現実味のある数字に見えたら、一度ご相談ください。「どこから手をつければ受注率が動くか」を一緒に整理します。
ご注意:業界ベンチマーク値はAIによる推定の参考値です。計算結果は入力値に基づく試算であり、実際の成果を保証するものではありません。提示している「業界平均まで改善した場合との差」も、あくまで参考値としてご活用ください。
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