「最近、営業が数字を上げきれないんですよね」——そんな相談を受けて現場を覗いてみると、エース級の営業担当が見積書のフォーマット調整や受注処理、CRM への入力に半日以上を使っている、という場面に出くわします。現場あるあるですが、本人たちも「これ、自分がやる仕事じゃないよな」と分かっているのです。ただ、誰かに振る仕組みがない。だから営業が事務をやり、商談時間が削られ、結果として売上が伸び悩む。正直に言うと、この構造を放置している会社は本当に多いです。問題は「営業が頑張っていない」ことではなく、「営業が頑張る対象が事務になっている」こと。だからまず、事務に消えている時間を"売上換算"してみるところから始めるのが筋だと思っています。
営業事務の効率化を「売上」で考えるフレーム
営業事務の話を時間で議論すると、たいてい「忙しい・忙しくない」の水掛け論で終わります。これを避けるには、時間を売上に換算してしまうことです。
ざっくり書くと、こうなります。
取り戻せる売上 = 1人あたり受注額 × 事務割合 × 成果変換率
ポイントは、時間という単位がこの式から消えていることです。「何時間削れたか」ではなく、「その時間を商談に充てたら、現実的に何割が成果になるか(成果変換率)」で見る。営業はフルに時間を渡されても 100% を売上に変えられるわけではないので、ここを正直に置くのが大事です。そのうえで、その金額が「事務担当を雇うコスト」や「自動化ツールのコスト」を超えるかどうかを比べる。これが営業事務 効率化 自動化の判断軸として、いちばん経営者と話が噛み合う考え方だと感じています。
数字で見ると、年560万円が消えている
具体的な数字を置いてみます。
項目 | 数値 |
|---|---|
営業1人あたりの受注額 | 4,000万円/年 |
粗利率 | 40% |
事務に取られている時間割合 | 28% |
成果変換率(時間→売上) | 50% |
取り戻せる売上 | 約560万円/人・年 |
計算は単純で、4,000万円 × 28% × 50% = 560万円。受注単価で割ると、おおよそ7件分の受注に相当します。
ここで「事務を1人雇う」という選択肢を考えます。年収360万円の事務担当を1人採用したとして、損益分岐はどこか。営業1.6人分の事務を肩代わりできれば、560万円 × 1.6 ≒ 896万円ぶんの売上回復となり、人件費360万円を十分に上回ります。営業が4〜5人いる組織なら、事務1人の採用は割と早く回収できる計算になります。逆に営業1人だけの組織で事務を雇うのは、ほぼ赤字になる。このあたりは肌感覚ではなく、数字で線を引けるところです。
では何をするか — 雇うか、自動化するか
ここからが本題です。事務担当を雇うか、自動化するか。判断軸は3つあります。
1つ目は、営業人数。前述の通り、営業1.6人分以上の事務を任せられる規模があるかどうか。これが採用の最低ラインです。
2つ目は、事務作業の標準化度合い。見積作成・受注処理・日報入力のようにルール化できる作業は、自動化や AI エージェントとの相性が良い。逆に顧客ごとに判断が分かれる業務は、人を雇った方が早いことも多いです。
3つ目は、限界コスト。ここが自動化のいちばん強いところで、人を雇うと「1.6人分」で頭打ちですが、自動化は仕組みが回り始めれば、営業10人ぶんでも20人ぶんでも限界コストはほぼゼロです。事業が伸びるほど、自動化の経済性は加速度的に効いてきます。
だから、まずは自社の数字を入れて損益分岐を見るのが先です。営業事務コスト試算ツールに受注額・事務割合・成果変換率を入れると、取り戻せる売上と、採用 / 自動化の損益分岐ラインが出てきます。
まず数字で線を引き、それから打ち手を選ぶ
営業事務の話は、感情論になりがちです。「営業も雑用くらいやれ」「いや、営業に集中させろ」——どちらも一理ありますが、判断の根拠が薄いと議論が前に進みません。だからこそ、自社の数字で損益分岐を引いてみることをおすすめします。試算してみて、採用が見合う規模なら採用すべきですし、限界コストが効く規模なら自動化を選ぶべきです。
私たち G2Agent では、営業事務領域の自動化や AI エージェント導入の設計をお手伝いしています。「うちはどのパターンか」「自動化するならどこから着手すべきか」といった相談にも対応していますので、ツールで試算したあとに具体の絵を引きたいという方は、お気軽にお声がけください。
ご注意:業界ベンチマーク値は AI による推定の参考値です。計算結果は入力値に基づく試算であり、実際の成果を保証するものではありません。挑発的な数字(「3割が事務に消える」など)は、業界平均まで改善した場合との差として正確に併記してご理解ください。
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